今回のテーマは、「20-20-20ルールは、成人にも有効!?」です。
米国眼科学会が推奨する20-20-20ルールは、20分間継続して近くを見たら、20フィート(約6メートル)以上離れたものを、20秒間眺めることを推奨するルールです。
当サイトでも、子供の近視進行抑制のコラムで紹介しています。
NHKの近視特集でも紹介され、世間の認知度が広まったようです。
この20-20-20ルールですが、子供の近視進行抑制に限ったものではなく、デジタルデバイスの使用頻度が高い成人にも有効です。
今回は、英国コンタクトレンズ協会発行の論文に掲載されている研究をご紹介します。
20-20-20ルールで仕事による眼精疲労を解消する
スマホやパソコンをはじめとするデジタルデバイスの進化は凄まじく、日本では1人1台のスマホ所持は当たり前、パソコンも1人1台所持は決して珍しくはありません。
仕事にプライベートに、1日のなかでかなりの時間をデジタルデバイスと睨めっこしている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する研究では、このように眼精疲労のあるパソコン使用者29人を対象に実施されました。(1)
まず、対象者が使用するノートパソコンに、内蔵カメラで10秒ごとに対象者が在席しているか、また、視線の方向を確認できるソフトウェアをインストールされました。
このソフトウェアは、先にご紹介した20-20-20ルールに基づき、対象者が20分連続で画面を見続けていると判断した際にモニターにメッセージを表示し、20フィート(約6メートル)離れた対象物を20秒間見るように指示が出るようアルゴニズムされています。
このメッセージは、20秒間正しく目を休めたとソフトウェアが判断されるまで表示が続きます。
これを2週間使用して経過観察されました。
ソフトウェア使用前後と、研究終了から1週間後の対象者の眼精疲労の症状を評価したところ、乾燥感、ヒリヒリ感、不快感などの目の症状に著明な低減が認められたといいます。
ただ、この眼症状の改善は、ソフトウェアの使用を辞めてから1週間後には維持していなかったようです。
この研究グループによると、仕事などで毎日パソコンを使っている人は多く、そのうち半数以上の人が何らかの眼精疲労を経験していると推測されています。
人は、一般的に1分間に15回ほどまばたきをすると言われています。
しかし、パソコンのモニターを見ているときには、まばたきの回数が半減します。
それが眼精疲労の原因の1つですが、20秒間、他の物へ目を向けるだけで目をリラックスさせ、疲れを軽減できると考えられています。(1)
研究者は、「以前に実施された同様の研究では、単に対象者に助言通りに目を休めるように指示されたものだった。
しかし今回の研究は、ソフトウェアで管理することにより、対象者が確実に20分ごとにモニターから視線を離したことを確認でき、結果として、全体的に眼精疲労の症状の改善がみられた」と述べています。(1)
まとめ
「20分間継続して近くを見たら、20フィート(約6メートル)以上離れたものを、20秒間眺める」20-20-20ルールは、パソコンを使用する成人に眼精疲労に対して有効ということが分かりました。
パソコンなどデジタルデバイスの画面を長時間見続けていると、眼精疲労、頭痛の原因になることがあります。
今回ご紹介した研究は、仕事で毎日パソコンを使用する人を対象に行われましたが、スマホを長時間見続ける行為も、パソコンと同様に眼精疲労の原因になります。
むしろ、パソコンより画面の小さなスマホは、より眼精疲労を生じるリスクがあるのかもしれません。
みなさんも、家族で米国眼科学会が推奨する20-20-20ルールを取り入れてみてはいかがでしょうか。
子供には近視抑制に有効、成人には眼精疲労に有効なようです。
(1)Talens-Estarelles C,et al. Contact lens & anterior eye : the journal of the British Contact Lens Association. 2023 Apr;46(2);101744. doi: 10.1016/j.clae.2022.101744.