前回の記事では、「オルソケラトロジーレンズはなぜ汚れやすいのか?」を解説していきました。
オルソケラトロジーレンズは特殊なレンズ形状をしており、なかでもリバースカーブが凹みを伴うことから、指ではしっかり洗うことができず、汚れが蓄積しやすいことが分かりました。
そのため、通常のこすり洗いに加え、ポピドンヨード剤による消毒が推奨されています。
オルソケラトロジーレンズケア方法
推奨されるレンズケアについて、オルソケラトロジーガイドラインに記載されています。
角膜感染症対策として、界面活性剤によるこすり洗いとポピドンヨード剤による消毒を、そして、水道水によるレンズケースの洗浄・すすぎ、その後の乾燥と定期的な交換を推奨しています。(1)
具体的にどのようなレンズケアをすれば良いか、一例を紹介していきます。
こすり洗い
オルソケラトロジーレンズ対応の界面活性剤(洗浄保存液)によるこすり洗いを行います。
レンズの内面(凹面)を上にして、人差し指と中指の間にのせ、洗浄保存液を2-3滴つけます。
親指の腹でレンズを軽く押さえ、親指を回すようにしてレンズ全体を軽くこすり洗いします。
レンズをレンズケースホルダーに入れ、水道水で5-10秒間すすぎ洗いします。
ポピドンヨード剤による消毒
ポピドンヨード剤は、オフテクス社・クリアデューSLがオススメです。
製品には、液剤(ボトル)と中和剤(錠剤)が入っています。
レンズケースにオルソケラトロジーレンズをセットし、中和剤を1錠入れ、液剤を9分目くらいまで注入します。
蓋をしっかり閉めた後、その状態で4時間以上放置します。
最初は、液の色がオレンジ色ですが、4時間経った頃には無色に変わっています。
これが除菌完了のサインです。
レンズを装着する際は、レンズホルダーにレンズがセットされている状態で、水道水で十分にすすいだ後に装用してください。
レンズケース
レンズケースについては、オルソケラトロジー専用レンズケースのクロスタイプの使用をオススメしています。
セパレートタイプだと、右眼用レンズの部屋、左眼用レンズの部屋が完全に分かれているため、ポピドンヨード剤による消毒の際、錠剤が2錠必要になり非効率です。
完全貫通タイプだと、万が一、レンズケース内でレンズが外れた時に左右が分からなくなる可能性があります。
また、レンズケースは、オルソケラトロジーレンズ用とハードコンタクトレンズ用の2種類があります。
オルソケラトロジーレンズの方が、ハードコンタクトレンズより径が大きいので、オルソケラトロジーレンズをハードコンタクトレンズ用のケースに入れてしまうとレンズ破損の原因になりますので、お気をつけください。
レンズケースのケアも重要です。
オルソケラトロジーレンズを保管するレンズケースが、菌の温床になることがあるためです。
保存液は毎回新しいものを使用します。
なかには、洗浄液を交換せず、何度か使いまわしている方もいるようですが、汚れた液の中にレンズを入れることになり、危険です。
レンズを装着した後、カラになったレンズケースは、水道水でしっかりすすぎ洗いし、充分に乾燥させます。
また、レンズケースは定期的な交換が必要です。
3ヶ月に1回の定期交換を推奨しています。
まとめ
今回は、最適なオルソケラトロジーレンズケア方法について一例をご紹介しました。
より具体的な方法につきましては、オルソケラトロジー治療を受けられている施設の指示に従って頂き、毎日のケアを欠かさずに行ってくださいね!
(1)オルソケラトロジーガイドライン(第2版):日本コンタクトレンズ学会オルソケラトロジーガイドライン委員会