オルソケラトロジーレンズはなぜ汚れやすいのか?

オルソケラトロジー治療を行う上で、欠かせないのが毎日のメンテナンス。

レンズを清潔な状態に保つために、メンテナンスはとても重要です。

 

オルソケラトロジーレンズは、通常のハードコンタクトレンズと比較し、汚れがつきやすいと言われています。

なぜでしょうか?

 

今回は、オルソケラトロジーレンズはなぜ汚れやすいのかを解説していきます。

 

オルソケラトロジーレンズは特殊な形状をしている

オルソケラトロジーレンズは、特殊な形状をしたハードレンズです。

就寝時に装用することで、眼の角膜の形状を整え、日中を裸眼で生活することを目的とします。

 

歯の矯正は、ワイヤーやマウスピースを使って歯並びを改善させますが、近視矯正であるオルソケラトロジー治療は、レンズの力を使って角膜の形状を矯正しています。

角膜の形状を矯正するためには、レンズの力で角膜をおさえる必要がありますが、角膜の中心付近を正しくおさえるためには、レンズのセンタリングも重要です。

 

そのため、オルソケラトロジーレンズは以下のような特殊な形状をしており、それぞれが役割を担っています。

 

  • フィッティングカーブ

角膜上でレンズを保持する部分になります。

アライメントカーブとも呼ばれています。

 

  • リバースカーブ

フィッティングカーブとベースカーブの移行部です。

急な傾斜をもち、階段のような役割をする部分です。

 

  • ベースカーブ

レンズ中心部の直径6mmほどの部分です。

角膜中心部に僅かな圧力をかけるように設計されています。

このベースカーブにより角膜の形状を矯正しており、オルソケラトロジー治療の要となる部分です。

 

  • ペリフェラルカーブ

レンズ最周辺部の部分でやや外側に沿った形状をしています。

レンズが角膜にへばりつき過ぎないようになっています。

レンズと角膜間の涙液交換の役割も担います。

 

リバースカーブは凹みとなっており、指ではしっかり洗えない

これらのように、オルソケラトロジーレンズは、一般的なハードコンタクトレンズと違い特殊な形状をしています。

 

なかでもリバースカーブは凹みとなっており、指(こすり洗い)ではしっかり洗えません。

このリバースカーブの形に合わせて、角膜感染症を起こした症例もあります。

 

家の中を掃除するときをイメージしてください。

段差があるところや、溝があるところは汚れが蓄積しやすく、掃除しにくいですよね。

逆に平坦なところは、掃除もしやすく、汚れも落としやすいと思います。

 

レンズ面が平坦ではなく、凹みをもつオルソケラトロジーレンズは、より入念なケアが必要になってくるのです。

 

オルソケラトロジーガイドラインでも注意喚起されている

日本コンタクトレンズ学会が定めるオルソケラトロジーガイドラインにおいて、「(オルソケラトロジーレンズは)特殊なレンズ形状と睡眠時の装用である点で、より入念なレンズ管理を必要とする。」と注意喚起されています。(1)

 

どのようにケアすれば良いのか

推奨されるレンズケアについて、オルソケラトロジーガイドラインに記載されています。

 

角膜感染症対策として、界面活性剤によるこすり洗いとポピドンヨード剤による消毒を、そして、水道水によるレンズケースの洗浄・すすぎ、その後の乾燥と定期的な交換を推奨しています。(1)

 

レンズケースに汚れが蓄積することも

オルソケラトロジーレンズを保管するレンズケースは、汚れが蓄積しやすくなります。

洗浄保存液は毎回交換し、同じレンズケースを長期間使用することは避けましょう。

3ヶ月に1回は、新しいレンズケースに交換することを推奨しています。

 

レンズを装着した後、カラになったレンズケースはしっかり水洗いし、充分に乾燥させましょう。

 

まとめ

オルソケラトロジーレンズは、特殊な構造をもつハードレンズです。

特に、凹みをもつリバースカーブに汚れが蓄積しやすくなります。

そのため、通常のこすり洗いだけでは汚れが落ちにくく、ポピドンヨード剤による消毒が必要になります。

 

また、オルソケラトロジーレンズを保管するレンズケースが菌の温床になることがあるため、レンズケースのケアも欠かせません。

 

適切なケアを行い、安心・安全なオルソケラトロジーライフをお送り頂ければ幸いです。

次回は、より具体的なレンズケア法をご紹介します。

 

(1)オルソケラトロジーガイドライン(第2版):日本コンタクトレンズ学会オルソケラトロジーガイドライン委員会