オルソケラトロジー とコンタクトレンズの比較

ここでは、オルソケラトロジーとコンタクトレンズを比較してみましょう。

 

コンタクトレンズの歴史は古く、実用可能なコンタクトレンズは1950年代に開発されました。

PMMAという素材を使用したハードコンタクトレンズで、現在のハードコンタクトレンズの原型になっています。

 

その後、ガス透過性のハードコンタクトレンズが開発され、安全で長時間装用可能なレンズへと進化を遂げました。

 

1970年代には、HEMA素材のソフトコンタクトレンズが登場。

続いて、1980年代には高含水ソフトコンタクトレンズ、2000年代には酸素透過性の高いシリコーンハイドロゲルレンズが登場しました。

 

コンタクトレンズは眼鏡と違い、一見、裸眼で生活しているかのような感覚を得られることから、若者を中心に装用人口が多くなっています。

カラーレンズもあり、オシャレアイテムとして装用している方もいますよね!

 

それでは、オルソケラトロジーとコンタクトレンズを比較してみましょう。

 

オルソケラトロジーの特徴

メリット

  • 日中は裸眼で生活できるようになる
  • 近視進行を抑える効果がある
  • 手術が不要
  • レンズ装用をやめると角膜の形状を元に戻せる
  • 裸眼でスポーツができる
  • マリンスポーツに最適
  • 親の目の届く時間に装脱するため、親の管理のもとに治療ができる

 

デメリット

  • 強度の近視・乱視には適応限度がある
  • 裸眼視力が出るまでの時間に個人差がある
  • 慣れるまでレンズ装用時に違和感を覚えることがある
  • 暗い場所で光がにじんで見えることがある
  • 毎日のケアが必要
  • 自由診療のため費用がかかる
  • 遠視の矯正は不可

 

コンタクトレンズの特徴

メリット

  • 強度近視・強度乱視でも矯正できる
  • 強い度数のレンズでも歪みを感じにくい
  • 左右の度数差があっても使用可能(不同視に対応できる)
  • 裸眼で過ごしているような感覚を得られる
  • 視野の制限がない
  • ネットやお店で気軽に購入できる
  • 価格が安い

 

デメリット

  • 装用推奨時間があり、長時間の装用には不向き
  • レンズの種類や長い装用時間により、角膜が酸素不足に陥ることがある
  • ドライアイの状態が悪化することがある
  • 花粉症やアレルギーがある場合、症状を増悪させることがある
  • メンテナンス不良などが原因で、眼を痛めることがある
  • 1dayレンズを除き、ケアに手間がかかる
  • コンタクトレンズ装用中は、コンタクトレンズ対応の目薬以外は使用できない
  • 装用時間を守らず使用すると、角膜内皮細胞が減少することがある

 

装用サイクルの違い

オルソケラトロジーもコンタクトレンズも治療には“コンタクトレンズ”を用います。

ところが、レンズを装用するタイミングは真逆で、オルソケラトロジー治療では就寝中に治療用コンタクトレンズを装用します。

 

オルソケラトロジー治療で用いるレンズの目的は、角膜の形状を整えることです。

就寝中に角膜の形状を矯正することで、日中の活動する時間は裸眼で過ごせるようになります。

つまり、寝ている時間にレンズ装用し、起きている時間にレンズを外します。

 

一方、コンタクトレンズの場合は、角膜の形状を矯正するのではなく、コンタクトレンズそのもののレンズ効果を用いて、眼に入ってくる光を集光または発散されることで、屈折異常を矯正します。

物をしっかり見たい時にレンズを装用する必要があるため、日中の活動する時間にレンズを装用する必要があります。

つまり、起きている時間にレンズを装用し、寝ている時間はレンズを外します。

 

活動時(日中) 就寝時(夜間)
オルソケラトロジー 裸眼で生活 治療用レンズ装用
コンタクトレンズ コンタクトレンズ装用 裸眼で就寝

 

裸眼で生活できることのメリット

どちらの装用サイクルが合うかは、みなさんそれぞれだと思います。

例えば、「水泳などのスポーツをしていて、コンタクトレンズが外れてしまわないか不安」、そんな方は日中裸眼で生活できるオルソケラトロジーは有利です。

 

また、アレルギーやドライアイのある方で、通常のコンタクトレンズでは装用中にショボショボして不快感がある場合、日中裸眼で過ごすことのできるオルソケラトロジーの恩恵は大きいはずです。

コンタクトレンズ装用中は、点眼できる目薬も限られてきますので、そのような問題も解決できます。

 

パソコンやスマホを見る機会の多い現代社会では、ドライアイや眼精疲労を訴える方が増加しています。

いくら安全設計されているコンタクトレンズとはいえ、眼にとっては異物です。

裸眼の状態と比べると、眼の表面を覆う涙の状態も不安定になります。

 

裸眼で過ごすことができるメリットって想像以上に大きいはずです。

 

コンタクトレンズの手軽さ

では、コンタクトレンズがオルソケラトロジーより有利な点は何でしょうか?

やはり、どこでも手軽に購入できて、必要な時に(物をしっかり見たい時に)装用できる点ではないでしょうか。

 

「今日は外出するからコンタクトレンズで」、「今日は家にいるから眼鏡で過ごそう」。

その日の生活に合わせて自由にチョイスできます。

 

簡単に購入できるコンタクトレンズ

手軽に購入できる点もコンタクトレンズ装用者が多い理由の1つでしょう。

今やネットで購入できるのは当たり前、街中の有名ディスカウントショップでも手軽に購入できる時代です。

欲しい時に購入できて、必要な時に装用できるコンタクトレンズは、現代人の多忙な生活にマッチしているともいえます。

 

定期検診の重要性

ここで1つだけ注意点が!

手軽に購入できるコンタクトレンズだからこそ、何年にも渡り眼科での定期検査を受けずにコンタクトレンズを装用している方がいらっしゃいます。

コンタクトレンズは高度管理医療機器に分類される医療機器です。

 

自覚症状がなくとも、眼にダメージを及ぼしていることもあるため、注意が必要です。

眼の状態は健康でも、必要以上に度数が強いと眼精疲労の原因にもなります。

安心してコンタクトレンズを使用するためにも、眼科での定期検査は欠かさず行きましょう。

 

オルソケラトロジー VS コンタクトレンズ 治療費比較

オルソケラトロジー
定額制の場合 Ex)両眼1万円/月
1年目:120,000円/年
2年目:120,000円/年
3年目:120,000円/年
3年間合計:360,000円
コンタクトレンズ
Ex) 1day使い捨てソフトコンタクトレンズ
両眼7,000円/月
1年目:84,000円/年
2年目:84,000円/年
3年目:84,000円/年
3年間合計:252,000円

治療費は一例です。

オルソケラトロジーは自由診療となるため、施設により治療費やサービス内容が異なります。

コンタクトレンズは、レンズの種類、グレードにより製品価格に差があります。

詳しくは、各施設へお問い合わせください。